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高齢者肺癌に対する外科治療

No.5018 (2020年06月27日発行) P.50

春木朋広 (鳥取大学呼吸器・乳腺内分泌外科)

中村廣繁 (鳥取大学呼吸器・乳腺内分泌外科教授)

登録日: 2020-06-27

最終更新日: 2020-06-23

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 【術前リスク評価と予後予測】

近年の高齢化率の上昇に伴い,高齢者肺癌は増加の一途である。多くの併存症を有する高齢者肺癌に対しては,低侵襲性を考慮した胸腔鏡手術や縮小手術が有用と考えられる。また,高齢者肺癌に対する外科治療では,術後合併症や予後のリスクを的確に評価し予測することが重要である。

筆者らは,鳥取大学胸部外科で胸腔鏡手術を行った75歳以上の高齢者の原発性肺癌216例を対象とし,喫煙習慣,循環器・呼吸器疾患や糖尿病などの併存疾患をもとにSimplified Comorbidity Score(SCS)を算出し,スコア値をもとに低SCS群と高SCS群に分類し,術後合併症や予後を解析した1)。その結果,ハイリスク症例を多く含む高SCS群では合併症発症率が高く,有意に予後不良であった。

最近,日本呼吸器外科学会学術委員会では高齢者肺癌外科治療の前向き観察研究が行われ,わが国の多施設から高齢者肺癌手術症例が登録された。この研究でもSCSを含めた周術期因子が評価され,新たな包括的スコアシステムが確立され,その高齢者肺癌外科治療における有用性が評価された2)。これらの術前リスク評価に加え,術後のQOLを十分に見極めた上で,適切なアプローチや術式選択をすることが,高齢者肺癌の外科治療では重要となる。

【文献】

1)Haruki T, et al:Surg Today. 2017;47(6):718-25.

2)Saji H, et al:Eur J Cardiothorac Surg. 2018; 53(4):835-41.

【解説】

春木朋広,中村廣繁  鳥取大学呼吸器・乳腺内分泌外科 *教授

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