【質問者】
柴田 怜 新潟大学医歯学総合病院 呼吸器・感染症内科
【治療終了後も定期的に画像フォローを行うことが重要である】
肺クリプトコックス症は後天性免疫不全症候群,固形臓器移植後,血液悪性腫瘍,および慢性的にコルチコステロイドまたは他の免疫抑制療法を受けている患者を含む免疫不全患者でより一般的ですが,免疫正常者でもしばしばみられます。
免疫正常者の肺クリプトコックス症の治療は外科的切除,抗真菌薬治療,経過観察が挙げられます1)2)。また治療開始前には髄液検査を行うことが多いですが,米国感染症学会(Infectious Diseases Society of America:IDSA)ガイドラインでは「免疫正常者の肺クリプトコックス症では無症候性の中枢神経病変を除外するために腰椎穿刺を考慮する。しかし無症候性の肺結節,浸潤影,中枢神経症状がない,血清クリプトコックス抗原が陰性または低値であった場合は腰椎穿刺を避けることができる」と記載されています3)。一方,2019年のわが国のガイドラインでは,肺クリプトコックス症151例をまとめた論文で免疫正常者の頭痛や発熱のない髄膜脳炎が報告されていることから,髄液検査の要否の判断は慎重に行うべきとされており,議論の余地があります4)。
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