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【私の一本】『大統領の料理人』

No.4693 (2014年04月05日発行) P.78

垣添 忠生 (国立がんセンター名誉総長/公益財団法人日本対がん協会会長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-10

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  • 原題「LES SAVEURS DU PALAIS」。クリスチャン・ヴァンサン監督・脚本、カトリーヌ・フロ主演、2012年製作。ギャガ株式会社配給。

    〔DVD¥3,800(税別),Blu-ray¥4,700(税別),発売元ギャガ,販売元ポニーキャニオン,2014年4月16日(水)発売.Les Saveurs du Palais ⓒ 2012/Armada Films-Vendome Production/Wild Bunch/France 2 Cinema〕

    生きることと、食を考察する華麗な作品

    フランスの故ミッテラン大統領は、食通であり、美術にも造詣が深く、教養人で通っていた。G8の会合で訪日した折、日本料亭でのレセプションで、床の間の掛軸にただ一人見入っていたという。

    本作でミッテランを想定した大統領に専属料理人として招かれたのが、オルタンス・ラボリ。モデルとなった実在のシェフはダニエル・デルプシュ。料理自慢の地ペリゴール出身で、田舎のレストランでトリフやフォアグラなど地産の食材で腕を振るっていた。そのオルタンスが、料理界の大物ジョエル・ロブションの推薦でエリゼ宮に入った。二十数人の男社会として確立された厨房に、初めて女性の大統領専属シェフとして加わったオルタンスに対する嫉妬と羡望。それを横糸とすると、縦糸は大統領とオルタンスの料理を通じた心のやりとりだろうか。

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