著者は解剖学者・発生学者の三木成夫(1925~87年。東京医歯大助教授を経て東京芸大教授)。本書は、小川鼎三 編『原色現代科学事典6─人間』(学習研究社、1968年)の一部に収載、三木の死後に単行本化された。
(うぶすな書院、1997年刊)
医学部卒業と同時に漢方医を志した私は、友人たちからは一種の変人と思われたようであった。しかしその後、医学部で西洋医学を修めたばかりの私は、いわゆる臓器別の要素還元論的な西洋医学と、ヒトの体全体の反応を観ようとする漢方医学の大きなギャップに悩まされた。
医学の壁を感じていたこの頃、何かのきっかけで三木成夫先生のこの本に出会った。発生学・解剖学という西洋医学を基盤とし、全体としてのヒトの体の仕組みを理解することで、一見ものの捉え方が異なる西洋医学と漢方医学を、私の頭の中でかなり整理・融合してくれた。その意味で医師としての自分を再構築してくれた本と言えるであろう。
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