1979年に出版された原書名は“Anatomy of an Illness”。本書では、著名なチェリストのカサルスやシュバイツァー博士の話も楽しく読むことができる。
ノーマン・カズンズ著、松田 銑訳(岩波現代文庫、岩波書店、2001年刊)
〔写真筆者提供〕
ノーマン・カズンズは、アメリカの偉大なジャーナリストである。彼は1964年に重症の膠原病に罹患するが奇跡的な回復を遂げ、その体験記がニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(1976年12月号)に掲載された。掲載直後からアメリカ医学界で大反響を呼んだが、さらに彼のもとには十数カ国、約3000名の医師からの投書が届いたという。多くの医師とのやりとり、また自身の闘病生活を通して痛感した現代医学の欠陥などについて省察と提言を加え、1979年に出版した。
彼は、本書で次のようなことを強調している。「難病治療には患者と医師の協働作業が非常に重要である」「笑いや愛といったポジティブな感情が大切である」。
残り362文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する