『マザー・グースの物語』の作者ライマン・フランク・ボームが1900年に発表した児童文学作品。オズ・シリーズとして14編を著している。写真は江國香織による翻訳本(小学館、2013年刊)
〔写真筆者提供〕
ジュディ・ガーランドが歌う『虹の彼方に』しか知らないという方、実は私もそうでした。ところが、ある書店で、様々な翻訳本を読み比べるという企画に出合ったのです。その瞬間、ぱっと世界が弾けました。まんまと企みに乗せられ、目覚めたのは、私だけではないでしょう。
カンザスに住む少女ドロシーは愛犬トトと家ごと竜巻にさらわれ、辿り着いたのは魔法使いが治める国。家に帰りたいドロシーと、脳みそが欲しいかかし、心臓が欲しいブリキのきこり、勇気が欲しいライオンが、望みをかなえてくれるというオズの魔法使いに会うため旅を始める、というのがストーリー。あとは読んでのお楽しみなのですが、物語以上に翻訳者の個性が光ります。原作(材料)は同じでも、翻訳(調理)の違いで別の物語を読んでいるような気にさせられるのです。
残り364文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する