菅義偉首相が「オンライン診療の恒久化」に意欲を示していることを受け、日本医師会の中川俊男会長は9月24日の定例記者会見で、オンライン診療に対する日医の考え方を説明した。
新型コロナウイルス感染症流行下の時限的・特例的対応として現在容認されている「初診からのオンライン診療」について中川会長は、あくまでも「有事における緊急の対応」であり、「今後の対応については、今般の特例の検証結果を踏まえ、あらためて安全性・有効性について確認しつつ検討すべき」と主張。
「検証から得られる結果は、有事の感染リスクと比較してのものであり、平時の対面診療とは比較困難であることにも注意する必要がある」と述べ、慎重な議論を求めた。
中川会長はオンライン診療に対する診療報酬上の評価にも言及し、問診、視診のみならず検査や触診・打診・聴診も行う対面診療とオンライン診療とでは「診療行為の範囲が異なる」として、「診療報酬の一定の差は今後も必要」との考えを示した。
オンライン診療に対する日医の基本スタンスは、①離島・へき地など地理的条件でアクセスが制限されている場合、②難病・小児慢性疾患で診察できる医療機関が限られている場合、③在宅医療や様々な事情により医療機関へのアクセスが困難な場合、④出産前後等で一時的に通院が困難な状態にある場合─など、「解決困難な要因」によって医療機関へのアクセスが制限されている場合に適切にオンライン診療で補完するというもの。
かかりつけ医によるオンライン健康相談についても「要検討」とのスタンスを示しているが、中川会長は、認める場合には「健康相談の定義付けやオンライン健康相談のガイドラインの作成が必要」としている。