【質問者】
佐藤陽一郎 済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科医長
【病変の早期発見に努め,所見次第では悪性所見を念頭に置いた積極的な生検を行う】
喉頭白板症は,日常臨床においてしばしば遭遇する喉頭疾患のひとつです。喉頭白板症とは肉眼所見からつけられる臨床病名であり,組織学的には細胞異型を伴わない粘膜上皮が肥厚角化した病態と言われています。
炎症に伴う過形成であるため,良性の経過を経て自然消退することもありますが,一方で上皮内に異型細胞が潜伏する場合や,上皮内癌へと移行することも少なくありません。喉頭白板症の経過観察において,6カ月以内に約10%,5年以内に約20%の症例に喉頭癌が確認されたという報告1)もあり,悪性に準じた慎重な対応を要します。
喉頭白板症の多くはファイバーで発見されますが,微小病変例やポリープ様声帯との併存症例などでは確認が困難なこともあります。ストロボスコピーを併用すると,声帯粘膜波動や振動など声帯の動的評価の幅が広がります。声帯下唇や裏面の病変の検出にも優れており,病変の早期発見に有用です。
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