声門前後で咽頭・喉頭異物と気管・気管支異物にわけられる。気道が1本しかない部位(喉頭,声門・気管)では窒息の危険があり,至急適切な処置を要する。
気管支異物では,誤吸引時ひどかった咳も異物が気管支に固定されるといったん落ちついてみえることがある。聴診上患側肺の換気低下や胸部X線写真所見(吸気・呼気時に撮影しチェックバルブとなっている患側肺に容積変化がない,呼気時にしぼまない)などから本疾患が疑われる場合,母親に患児にピーナッツなどを与えたことはないか等,具体的で詳細な問診が必要となる。
1~2歳の幼児は何でもつかんで口に持ってくる。男児に多い(70%)1)。
窒息の場合にはその場にいる人がとにかく処置を開始する。少ないながら換気がみられる場合には,そのまま静かに寝かせ救急要請をする。
気管異物は症状や理学所見に乏しいことが多い反面,異物が移動して声門に嵌頓する危険性が高く,注意を要する。気管支異物症例とともに異物摘出術が可能な専門施設に搬送する。途中,救急車の振動や児の啼泣などで異物が移動し喚気不良となる場合に備え,必ず医師が同乗する。窒息をきたした際には,盲目的に異物を主気管支まで落とし片肺ででも換気せざるをえない。
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