「ストレス解消法はありますか?」
日常の診療でよく患者さんに問いかける質問だ。
ストレス社会において、ストレスマネジメント能力を高めることは非常に重要である。ストレスマネジメントとは、「ストレスとの上手な付き合い方を考え、適切に対処していくこと」であり、ストレスを対処する方法がストレスコーピングである。ストレスコーピングには問題焦点型、情動焦点型、認知的再評価型、社会的支援探索型、気晴らし型といった複数のタイプがあり、一般的にストレス解消法と呼ばれるものは「気晴らし型」に該当する。飲酒、喫煙、ギャンブルなどはストレス解消法になるが健康を害する方法であり、適切なコーピングとは言えず、運動、映画鑑賞、カラオケ、旅行などが望ましい。
コロナ禍の社会では、「三密を避けましょう!」、「ソーシャルディスタンスを保ちましょう!」といったキャッチフレーズが当たり前になり、映画館、コンサート、カラオケ、スポーツジム、飲食店を利用できない期間が長く続いた。コロナはわれわれのストレス解消法も奪っていった。
令和2年4月7日に緊急事態宣言が発出されてから半年が過ぎた頃、総合診療科の外来には、「PCR検査は陰性なのに微熱が続き登校できない学生(機能性高体温症)」、「頭が重く、肩こりが強くなったテレワーク中の中高年(緊張型頭痛、頸肩腕症候群)」、「コロナ前は歩けていたのに寝て過ごすことが多くなった高齢者(フレイルの増悪)」といった患者さんが多く訪れるようになってきた。長期間外出ができず、運動量が減り、これまでのストレス解消法を奪われた方々であろう。
「ストレス解消法を3つつくりましょう!」
1つしかストレス解消法がないと、それができなくなったときに体調を崩す人が多いため、随分以前より患者さんに勧めてきたアドバイスだ。
①家でできること、②家の外でできること、③身体を動かすこと、の3つを推奨している。コロナ禍に限らず、ストレスコーピングについて見直しを図り、日々のストレスと上手に付き合っていくことを医師として伝えていきたい。