厚生労働省は3月5日、オンライン資格確認のテスト運用に参加した施設の導入事例を紹介する特設サイトを開設した。第1弾として導入病院のインタビュー記事を掲載。今後は、医科診療所、薬局といったセグメントごとにコンテンツを追加していくとしており、導入施設の増加につなげていきたい考えだ。
3月4日に開かれた社会保障審議会医療保険部会では、オンライン資格確認システムの準備状況や患者が受診した際の業務フローなどが説明された。それによると、3月下旬のシステム本稼働後は、健康保険証とマイナンバーカード(健康保険証化されたもの)で受診する患者が並存。マイナンバーカードによる受診の場合は、患者本人が顔認証付きカードリーダーにカードを置き、所定の操作をして本人確認や特定健診情報などの提供に関する同意手続きを進めるため、受付での健康保険証の受け渡しや入力業務が不要となり、待ち時間の短縮が期待できるとしている。
特定健診情報と薬剤情報の提供については、受診の都度、患者の意向を確認。患者が同意しなければ、医療機関(薬局を含む)がこれら情報を閲覧することはできない。医療機関が閲覧した場合はログがオンライン資格確認システムに残り、患者はマイナポータルを介して、情報を提供した日時や医療機関名などを確認できる。患者の情報を閲覧できるのは有資格者に限られ、医療機関側では電子カルテシステムのID・パスワード認証を活用して閲覧者を管理する。特定健診情報(75歳以上は後期高齢者健診情報)は2020年以降に実施され、保険者がデータ登録した情報から順次、薬剤情報は21年9月診療分以降の情報を10月から閲覧することが可能。このうち、特定健診情報は保険者がデータ登録を済ませないと閲覧できないため、厚労省は今後、保険者の登録状況をホームページに掲載して周知する方針。
マイナンバーカードのセキュリティに関しては、ICチップはデータベースから情報を引き出すための「鍵」であり、それ自体に個人情報が格納されているわけではなく、不正に情報を引き出そうとすればICチップが壊れる仕組みであることなどから、仮に落としたとしても悪用は難しいとの認識を示した。
厚労省によると、2月21日時点の顔認証付きカードリーダーの申込み率は32.8%。内訳は、病院42.6%、医科診療所24.6%、歯科診療所27.0%、薬局50.5%となっている。国は3月下旬の本稼働時の申し込み率の目標値を6割程度に設定している。
なお、導入事例紹介サイトのURLは、https://cases.iryohokenjyoho-portalsite.jp