新型コロナワクチンの先行接種に参加した医療従事者等(国立病院機構、JCHO、労働者健康安全機構の傘下病院の従事者)を対象に進められている「観察日誌」による健康調査で、2回目接種後に病院勤務を休んだ「病休者」が6%強に上ることが4月9日、研究班の報告で明らかになった。
研究班の報告は、研究代表者の伊藤澄信氏(国立病院機構本部総合研究センター長)により厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会の合同部会で行われた。
伊藤氏は、観察日誌の自由記載欄を調べたところ、1回目接種後の「病休」はわずか0.19%だったのに対し、2回目接種後の「病休」は6.08%に上ったと報告。
研究班では2回目接種翌日の勤務は控えるように勧告していたため、先行接種では休日前に接種したケースが多いとみられているが、それでも勤務を休まなければいけなくなった「病休者」が6%に上ったことから、伊藤氏はこの事実を重視。「医療現場で初めから熱が出ることが分かっていても6%の人は勤務を休まなければいけなくなっているというのは相当重い。今後、一般の方、働かれている方への接種に向けて、この結果を十分利用してほしい」と訴えた。
この日の合同部会では、1回目接種1万9157例、2回目接種1万5985例(4月7日現在)の観察日誌のデータを集計した結果、1回目に比べ2回目では接種後の「発熱(37.5℃以上)」「全身倦怠感」「頭痛」の発現頻度が高く、2回目接種後の発熱は4割(38.1%)、全身倦怠感は7割(69.3%)、頭痛は5割(53.6%)に上ったことも報告された。
年齢別に見ると、65歳以上の高齢者は2回目接種後の発熱9%、全身倦怠感38%、頭痛20%と発現頻度が比較的低く、男女別に見ると、どの年代も女性の発現頻度が高い。
3月26日の前回報告では2回目接種のデータ数がまだ3933例と少なかったが、約1万6000例までデータが集まっても傾向が変わらないことから、伊藤氏は「(全身倦怠感や頭痛の発現頻度は)若年者・女性が高い」と結論づけ、「(これらの人たちは)2回目接種の翌日はおそらく仕事をするのも難しいのではないか」と注意を促した。
伊藤氏はまた、自由記載欄を集計した結果、被接種者の100人に2人程度は2回目接種後に「腋窩のリンパ節の痛みや腫れを自覚している」と報告。「リンパ節が腫れたりするのは、(使用されているファイザーのワクチンは)免疫賦活化作用が大変強いワクチンであるということ。リンパ節が腫れるとびっくりする方もいるので、そういうことがあるということを(事前に)お伝えすることが必要ではないか」と指摘した。
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