財務省は4月15日の財政制度等審議会財政制度分科会に提出した社会保障に関する資料で、診療所における「かかりつけ医機能」の制度化を提言。紹介状なしで大病院外来を受診した患者から定額負担を徴収する仕組みとともに推進し、外来医療の機能分化と連携につなげることを求めた。
大病院外来における受診時定額負担の義務化対象については、紹介外来を基本とする一般病床200床以上の病院に拡大する方針がすでに決まっており、2022年度診療報酬改定に向けて具体的な議論が詰められる見通しだ。財務省はこの取組の一層の推進を促すとともに、国民が必要なときに必要な医療にアクセスできるようにするためには、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の推進が不可欠だと指摘。診療所のかかりつけ医機能を法制上明確化するよう求めた。
入院医療では、病床数は諸外国に比べて多いが、病床当たり医療従事者数は少ない「医療資源の散在」を解消し、効率的で質の高い医療提供体制を整備するべきだと繰り返し主張。実現のための具体策として、▶医療費適正化計画上の必須事項にすることも含め、地域医療構想の法的位置づけを強化する、▶地域医療構想調整会議の実効性を高めるための環境整備を行い、地域医療構想のPDCAサイクルを強化する、▶改正感染症法などを参考に平時における医療法の都道府県の責務・都道府県知事の権限の強化を検討する、▶精神病床について地域医療構想と一層連携しての改革を推進する―の4項目を挙げた。
新型コロナウイルス感染症に関連した医療機関の支援策も提言。既存の交付金や補助金による支援よりも簡便かつ効果的な方法として、新型コロナの感染収束までの間、感染患者受入れ病院に対して、前年同月あるいは感染拡大前の前々年同月と同水準の診療報酬を支払う案を示した。
薬価の関係では、新薬の保険収載と同時に既存医薬品の保険給付範囲の見直しを財政中立で行うなど、保険適用された医薬品に対する予算統制のあり方の抜本的見直しの検討を求めた。このほか、▶新薬の薬価算定における原価計算方式のさらなる適正化、補正加算のあり方の見直し、新規性が乏しい新薬に類似薬効比較方式を採用する際の薬価算定の厳格化、▶既存医薬品の保険給付範囲の見直し、▶薬価改定で改定後薬価を算定する際の調整幅(2%)の見直し、▶長期処方におけるリフィル処方の導入―なども提案した。
一方、介護保険制度では、利用者負担の原則2割化や、居宅介護支援への利用者負担導入などの実現を訴えた。