3Dプリンターは,樹脂,セラミックス,金属,そして細胞の3次元化に至るまで,今や革新的な造形体製造技術として注目されている。その基本思想は1980年代にわが国で提案され,比較的成形の容易な樹脂が研究開発の対象とされてきた。2013年2月,米国・オバマ大統領が「3Dプリンターを活用して米国に製造業を呼び戻す」と宣言したことをきっかけとして,ものづくりの象徴となる現在の3Dプリンターフィーバーが起こった。わが国においても,政府主導のもとで3Dプリンターに関わる研究開発が重点的に進められている。
3Dプリンターは過去にはRP(rapid prototyping)と呼ばれ,3次元の形状を文字通り即座に試作する装置として考えられてきたが,今ではAM(additive manufacturing)と呼ばれるようになり,3次元製品を設計図通りに造形可能な手段として技術が向上してきた。AMは付加製造と訳され,製品が材料の切削・除去によって形づくられるのではなく,必要な場所に素材を付加していくボトムアップの発想である。
残り878文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する