1週前に右膝窩周囲に皮下出血が出現し,徐々に広がってきた。近医を受診し打撲と診断されたが,歩行時に痛みを認めるようになったため当院を受診した。外傷の覚えはない。
既往歴は胸腹部大動脈瘤(手術希望なし)と消化性潰瘍で,内服薬はない。出血傾向の既往・家族歴もない。
身体診察ではバイタルサインに異常なく,右大腿以遠に出血斑と浮腫を認める。他部位に特記所見はない。
血液検査の異常値は,Hb 6.5g/dL(MCV 99fL),Plt 9.2×104/μL,LDH 336U/L,CRP 0.37mg/dL,フィブリノゲン132(基準値:150-400)mg/dL,D-dimer 34.1(基準値:1.0未満)μg/mL,thrombin-antithrombin complex (TAT) 26.2(基準値:0-3.0)ng/mL,plasmin-α2 plasmin inhibitor complex (PIC) 5.1(基準値:0-0.8)μg/mLで,PT,APTTは基準値内。
下肢の造影CTではやや時間の経過した筋肉内血腫が疑われ(図1),CTアンギオグラフィーでは腹部大動脈瘤を認める(図2)。