春の日差しが入るオフィスで、スターバックスのBGMを聴きながらコーヒーを飲む。今日の午後はフリーである。
今朝届いた、『カラーアトラス 眼底図譜 第7版』を手に取ってみる。第6版よりだいぶ厚くなってずっしりと重い。早速ページをめくると、ぐいぐい引き込まれてしまった。内容は自験例の記述が中心なので、具体的でわかりやすい。著者の肉声が聞こえる。病気を詳細に見て理解していることに、感心させられる。これは紛れもなく、国内最高の網膜のテキストブックである。
OCTAやAZOOR、 macular microhole、 分層円孔のLHEPなど最近の話題も満載である。レイアウトを上手にまとめて内容を濃くしただけでなく、ページも大幅に増えたので全面改訂と言える。
Bullous retinal detachment,MPPE,APMPPE,geographic choroiditis,uveal effusionがどう違うかを説明できるのは、この本だけであろう。加齢黄斑変性の章は、臨床経験の豊富さに唸らされる。
驚くべきは、聞いたことがあるだけの希少疾患まで自験例で網羅されていることである。これは長年の蓄積がなければ不可能であろう。私はamyloidosisのOCTを初めて見た。pattern dystrophyとは何か?大変勉強になる。
この本は、一般的な分担執筆本とは次元が異なる。スジが通っている。それもそのはずで、本書は1968年に加藤謙先生、松井瑞夫先生により初版が出され、50年あまりにわたり引き継がれている。当初は眼底写真だけであったものが最近はOCTAまで加わるようになった。
若者の本離れが指摘されているが、多くの眼科医に、この素晴らしい教科書で、眼底疾患を日本語で学べる幸福を味わってほしい。