株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(3)足底腱膜炎の特徴と鏡視下手術法[特集:足底腱膜炎の診かた]

No.5067 (2021年06月05日発行) P.32

宇佐見則夫 (うさみ整形外科院長)

高鳥尚子 (うさみ整形外科)

登録日: 2021-06-04

最終更新日: 2021-06-02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

1. 足底腱膜炎の特徴

足底腱膜炎はスポーツ障害として論じられることが多いが,通常の外来診療では中高年以降(特に肥満例)に多く発症する。米国の報告では10人に1人は足底腱膜炎の疼痛に悩まされたことがあるとされている1)。好発年齢は40代から60代の間で,30代では稀である。肥満・長距離歩行や硬い路面で立っているような職業の人々に多く生じるとされている2)。手術例をみると長距離ランナーが手術に至ることが多いようである3)。また,踵骨棘と足底腱膜炎との関係では,有症状の例に踵骨棘が多くみられるとの報告のためheel spur syndromeと呼ばれることもある。しかしながら,一般成人の有症状例で骨棘のある例は75%,無症状例では63%と有意差はなく,名称から誤解されているので,骨棘を切除すれば治癒するというわけではない4)

足底腱膜は踵部の内底側から始まり母趾から小趾へ広がり屈筋腱と同じ部位へと停止する。足底腱膜の弾力性は4%でありそれほどの弾力性はない。屍体実験上では100Nの張力で破断されると報告されている5)。踵骨部での連結は,windlass mechanismでの張力を受ける部位の中では最も弱い連結であるため,この部位での炎症が生じやすいと考えられる。

2. 足底腱膜炎の治療

ストレッチは足底腱膜炎における典型的な初期治療であるとされている。間歇的なストレッチと持続的なストレッチともに有効である6)

消炎鎮痛薬については,装具などとの併用では有効との報告があるが,単独での有効性については確立されていない。

装具についてはheel cup式のものが欧米では推奨されていて,シリコン製が良いとされている7)

副腎皮質ホルモン薬の注射については有効であるが,踵部脂肪織の萎縮や足底腱膜の断裂などの合併症が報告されている8)。なお,注射する部位は足底腱膜起始部の上層部(皮膚表面に近い部分)にすべきとされている。

最近では体外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy:ESWT)が行われている。ESWTは88%の症例に有効との報告もある9)。治療費などから考えると,3,4種類の治療を3カ月以上行っても無効である例に適応があるとされている。

プレミアム会員向けコンテンツです(最新の記事のみ無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

長崎県五島中央病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 整形外科 1名
勤務地: 長崎県五島市

当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。

ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。
ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
共に五島で働きましょう。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top