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椎体骨折に対するballoon kyphoplastyの適応とタイミング

No.5072 (2021年07月10日発行) P.50

織田 格 (北海道整形外科記念病院副院長)

南出晃人 (獨協医科大学日光医療センター 整形外科・脊椎センター教授)

登録日: 2021-07-07

最終更新日: 2021-07-06

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  • 経皮的椎体形成術(balloon kyphoplasty:BKP)は一定期間の保存療法の後に要否を判断することが一般的でしたが,最近はより早期に行うべきという意見を聞きます。一方,全例に早期にBKPを行う施設もあり,適応に疑問を感じることも少なくありません。また,後壁損傷例は適応外とされていますが,後壁損傷例や神経障害例へ適応を拡大している施設も見受けられます。BKPの適応となる病態と手術のタイミングについて,お考えをお聞かせ下さい。
    獨協医科大学日光医療センター・南出晃人先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    織田 格 北海道整形外科記念病院副院長


    【回答】

    【骨粗鬆症性椎体骨折治療に対する医療者側の意識改革が求められている】

    骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)では,初期治療として保存療法が行われていますが,OVFの約36%に進行性の椎体圧潰をきたし,約14%で偽関節に至ると報告されています。その結果,腰背部痛遺残,椎体骨折後の脊柱後弯変形,神経障害などをきたす症例も少なくありません。さらに,臥床,安静による廃用性の四肢,体幹の筋力低下,全身状態への影響,それに伴う長期間にわたるリハビリ・要介護の必要性など,保存的治療による多くの問題を伴ってきます。

    近年,OVF後の椎体圧潰進行,偽関節に至る特徴的な画像所見が報告され,予後不良例が予見できるようになってきました。その所見として,胸腰椎移行部の椎体骨折においてMRI T2強調画像で椎体内広範囲低輝度または局所高輝度を示すもの1),T1強調画像で椎体内広範囲低輝度を示すもの2)が指摘されています。すなわち,受傷時に椎体骨折の予後は決定されると言っても過言ではありません。

    また,高齢者では保存療法によって安静臥床を強いられると,リハビリテーションを行っても社会復帰に長期間を要し,受傷前のADL,QOLを維持することは困難になります。そこで最近,早期(受傷1カ月以内)からの外科的介入(BKP)が積極的に行われるようになってきています。ただ,その適応は確立されておらず,エビデンスが待たれているところです。

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