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肝臓領域でのロボット支援下手術の導入についてメリットと今後克服すべき課題は?

No.5076 (2021年08月07日発行) P.43

江口 晋 (長崎大学大学院移植・消化器外科教授)

加藤悠太郎 (藤田医科大学総合消化器外科教授)

登録日: 2021-08-09

最終更新日: 2021-08-05

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  • 様々な領域の手術でロボット支援が始まっています。肝胆膵領域,特に肝臓領域でロボット支援下手術を導入するメリットと今後克服すべき課題についてご意見下さい。また,将来のロボット支援下肝切除の展望についてもお聞かせ頂ければ幸いです。
    藤田医科大学・加藤悠太郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    江口 晋 長崎大学大学院移植・消化器外科教授


    【回答】

     【メリットは脈管操作と視野の安定性。課題はデバイスの改良と至適術式の抽出】

    過去20年間の肝臓外科の歴史においてepoch-makingな業績のひとつは,低侵襲肝切除の開発・普及と言えます。

    腹腔鏡下肝切除はこの15年で爆発的に普及し,ある一定の基準を満たした腫瘍背景と術者であれば,開腹手術に比べて,創部縮小のみならず,腫瘍学的根治性を失わずに出血量,合併症率,入院期間を低減できることが示されています。しかし一方で,技術的難度の高い術式,たとえばS7,S8,S1など頭背側領域腫瘍に対する術式,高難度解剖学的切除術式,脈管再建を伴う肝切除などは,腹腔鏡手術では定型化,標準化に至っていません。一方,ロボット支援下肝切除は新しい低侵襲肝切除のプラットフォームで,世界的にも最近アジア,イタリア,米国を中心に増加傾向にありますが,まだ一般化されておらず,わが国でも保険収載に至っていません。

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