内眼角部の皮膚が過剰で,下眼瞼牽引筋腱膜または眼瞼挙筋から眼輪筋や皮下に達する穿通枝が不足しているために,瞼がまくれ込み,睫毛が眼球に触れている状態である。特に下眼瞼に多い。主に乳幼児期にみられる。顔面骨の成長に伴い,軽快する傾向がある。
・正面からの検査では,眼球運動に引きずられる睫毛の動きが認められないため,側方からの観察も重要である(図1)。
・睫毛が内眼角部結膜を接触刺激するので瞼をよくこする。眼頭の睫毛に眼脂が付きやすい。
・結膜上皮の障害が強くなると,水がしみるので洗顔や洗髪を嫌がる(生体染色検査)。
・内眼角部結膜の刺激症状で瞼を強くこすることにより,あるいは睫毛先端が角膜に当たることにより(図2),角膜びらんを生じるため,光をまぶしがり,嫌がり,瞼を強く閉じるようになる。
・角膜の傷が深く広がり慢性化すると,角膜上皮下の瘢痕変性化をまねき,視力に障害をきたす可能性がある(角膜形状解析や前眼部三次元解析による形状と高次収差の確認)。
顔面骨の成長に伴い軽快する傾向があるため,軽症の場合は自然治癒を期待してまずは経過観察とする。重症例や症状に改善がみられない場合は手術治療を選択する。
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