編者: | 谷戸正樹(島根大学医学部眼科学講座 教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 384頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2021年12月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-6322-5 |
版数: | 第1 |
付録: | 解説字幕付き動画66本。無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると,本書の全ページを閲覧できます)。紙面の随所に動画QRコードを配置。 |
1章 手術に必要な局所解剖
2章 手術機器と基本手技
3章 眼瞼・眼窩・斜視・涙道手術
4章 結膜・角膜・強膜の手術
5章 白内障手術
6章 緑内障手術
7章 網膜硝子体手術
私が眼科医になった当時は,白内障手術は“難しい”超音波ではなく,まずは,ECCEから習い,硝子体手術はトップサージャンだけが行う特別な手技でした。角膜移植も,全層角膜移植が主で,あとは,一部の施設で表層角膜移植を行っているくらいでした。涙道手術も鼻内法は存在せず,DCRに“鼻外”という言葉はついていませんでした。その後,私が眼科医として過ごしたこの四半世紀の眼科手術の発展はめざましく,ほぼすべての中間透光体の混濁による視力低下は何らかの手術対象となり,神経機能の低下による疾患への手術治療の試みも多くなされ,小切開・低侵襲・限局アプローチの術式が日常的に行われるようになりました。
本邦で行われる外科手術件数の2割弱が眼科手術であるとの統計があります。手術による治療は,しばしば劇的な視機能や病態の改善を得ることができるため,その適切な施行は患者のQOV・QOLに大きく貢献します。一方で,手術は侵襲・不可逆の変化をきたす治療法であり,不適切な手術や術後管理によるマイナスの効果はしばしば薬物治療や保存的な治療の副効果を上回ります。自らが手術を行う眼外科医はもちろん,手術をしない眼科医も含めて,眼科を標榜する医師,眼科専門医を志す若手医師は,眼科領域で行われる手術についてその内容や主たる適応について学ぶ必要があります。
本書では,多数ある眼科手術の中から,基本的と考えられる術式や施行頻度の高い術式を厳選し,気鋭の眼外科医に解説して頂きました。本書に紹介する術式は,これから眼科専門医の取得を目指す若手の眼科医師を主たる学習者であることを念頭に,眼科研修医ガイドラインおよび眼科専門医認定試験出題基準を参考に選定しました。1,2章では,眼科手術を行う際に必要な局所解剖と手術機器・基本手技に関して総論的な解説を行い,3章以降の各論では,具体的な術式を動画と共に解説頂くことに加えて,術式の適応を決定する際に必要な診断方法,手術に必要な器具,術後管理に必要な知識についても解説しています。若手だけではなく,あらゆるレベルの術者にとって,「疑似手術室見学」と言えるような構成になっています。また,各章にコラムとして掲載される,「大切なこと」,「よくある質問」,「若手医師の間に必ず身につけて欲しいこと」からは,各術者の眼外科医としての哲学やプライドを感じ取ることができると思います。
本書が,本書を手に取られた皆様を通じて,眼疾患と戦われる患者さんへの安全で効果の高い手術治療提供の一助となれば幸いです。
本書の企画・校正・出版にご尽力頂きました日本医事新報社の長沢雅氏,吉本軌道氏に感謝いたします。
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。