【コンタクトレンズ装用中でも使用可能な点眼薬はある。わからない場合は角膜上皮障害などを生じる可能性があるため,1日使い捨てソフトコンタクトレンズ(DSCL)であっても,点眼薬は制限するほうがよい】
ソフトコンタクトレンズ(SCL)装用中に点眼すると,点眼薬に含まれる主成分や添加剤がSCLに吸着し,局所的に濃度が高くなり,レンズの変形,変色,角結膜上皮障害をきたすことがあります。
SCLはレンズの素材やレンズ内に含まれる水分量によって,米国食品医薬品局(FDA)の分類で低含水性(含水率50%未満)・高含水性(含水率 50%以上)とイオン性・非イオン性で区別した4つのグループに分けられます。装用時に点眼薬の使用を避けるよう注意喚起がされることが多いのは,レンズ内の水分量が多い高含水性 SCLと考えられています。
高含水性SCL装用時に問題となる添加物質としてよく知られているものの1つが,防腐剤である塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride:BAC)です。BACは殺菌作用を発揮する反面,角膜にも作用し,epithelial crack lineなどの角結膜上皮障害を引き起こすことがあります(図1)。
近年,BAC以外の防腐剤や防腐剤フリーの点眼薬や点眼回数を2回に減らしてSCL装用前後のみ点眼する薬剤など,SCLと併用が可能な点眼薬も販売されています。添付文書にコンタクトレンズの上からも点眼可能と記載があれば,使用は可能です。しかし,記載がない,もしくは不明の場合は,上記の理由からSCL装用中の使用を制限するほうがよいです。SCL装用中に点眼が必要な場合,コンタクトレンズを外し,点眼後5分してから再装用すれば問題ありません。
【回答者】
山口昌大 順天堂大学医学部眼科学教室准教授