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眼瞼腫瘍[私の治療]

No.5216 (2024年04月13日発行) P.46

垣淵正男 (兵庫医科大学形成外科主任教授)

登録日: 2024-04-14

最終更新日: 2024-04-09

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  • 眼瞼腫瘍は,皮膚および毛包,眼瞼結膜,マイボーム腺(瞼板腺)やMole腺などの腺組織,眼輪筋やミュラー筋(瞼板筋)などの筋組織に発生する。また,マイボーム腺の炎症性腫瘤である霰粒腫や,より深部の涙腺腫瘍や涙囊腫瘍,眼窩縁の皮様囊腫(デルモイドシスト)も眼瞼の皮下腫瘤となる。
    良性腫瘍には,色素性母斑(母斑細胞母斑)や脂漏性角化症,眼瞼黄色腫,血管腫やリンパ管腫,表皮囊腫やマイボーム腺囊胞などの囊胞性病変,ウイルス性疣贅などがある。悪性腫瘍には,脂腺癌,基底細胞癌,メルケル細胞癌,悪性黒色腫などの固形がんのほか,悪性リンパ腫などの造血器腫瘍(血液がん)があり,稀に転移性悪性腫瘍も眼瞼に発生する。

    ▶診断のポイント

    眼瞼腫瘍はその性状や経過から良性疾患と診断できるものもあるが,確定診断は病理組織検査によることが大前提である。

    【視診,触診,細隙灯顕微鏡,ダーモスコピー】

    初診時における良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別が重要である。病歴を参考にして,腫瘍の外観や硬さ,周囲組織との可動性などから,皮膚や結膜の表面の病変は視診でほぼ診断がつく場合も多いが,腫瘍の局在や辺縁が不明瞭なこともある。

    悪性腫瘍には,急速な増大,表面や辺縁の不整,表面血管の不規則な太さや走行,出血や潰瘍化,睫毛の脱落,マイボーム腺の消失,周囲の正常組織への浸潤,などの特徴がある。

    【画像検査】

    皮下や結膜下の腫瘍には,超音波検査,CT・MRIなどの画像検査が必要である。

    【病理組織検査】
    〈切開生検〉

    悪性腫瘍が疑われたり,腫瘍の辺縁が明らかでなかったり,腫瘍が深部に及んだりしていて確実な完全切除が難しい場合,まず,部分切除による病理組織診断を行う。

    〈切除生検〉

    眼瞼腫瘍は病理組織診断結果が悪性であった場合でも,容易に追加,拡大切除ができることが多い。そのため,良性腫瘍の可能性が高い場合には,治療を兼ねて腫瘍全体を切除する切除生検を行うが,腫瘍が残存しないように注意する。

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