著: | 石岡 みさき(みさき眼科クリニック院長) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 168頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2020年02月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-6241-9 |
版数: | 第2版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
第2版 序文
初版が出て2年足らずですが,その短期間に新しい点眼薬がいくつも登場する,という割合珍しい状況になりました。抗菌薬のアジスロマイシン水和物(アジマイシン®)点眼,抗アレルギー薬のエピナスチン塩酸塩(アレジオン®LX)点眼,抗緑内障薬のオミデネパグ イソプロピル(エイベリス®)点眼,そして市販薬の点眼型洗眼薬のウェルウォッシュアイ®(1.0%ホウ酸)です。それぞれ特色があり,点眼回数が少なくてすんだり,副作用が出にくかったりということで患者さんに喜んでもらえるかなあ,と期待しながら処方しています。一方で薬の副作用に興味のある私としては,市販後にはっきりとしてくる副作用があるのかしらと見守るような気持ちもあります。薬の副作用は患者さんのふとした発言からわかることもありますし,専門分野の勉強会や眼科医の集まりで知ることもあり,フォロー必須です。4製品ともこの第2版に追加しました。
副作用と言えば,全身投与薬(主に抗癌剤)の眼に出る副作用が話題になることが最近よくあります。特集記事になっていたり,講演で聞くこともあります。これは,癌の治療がごく日常的なものになり,抗癌剤を使っている患者さんが市中の眼科開業医も普通に受診することが多くなってきたからと思われます。しかし,多くの患者さんは全身投与の薬剤,それも抗癌剤が眼科領域に副作用を起こすとは思ってもいません。原因不明の角膜上皮障害を見て,よくよく聞いてみると抗癌剤投与中だった,ということがあります。既往歴を聞いた際にも癌や抗癌剤は眼科と関係がない,またホルモン療法薬は抗癌剤ではない,と考えている患者さんもいて,治療歴として教えてくれないことがあるのです。 抗癌剤の副作用は抗癌剤を中止しないと治らないことも多いために,本書のタイトルでもある「点眼薬を選ぶ」ということにはならないのですが,治療を考える上で必ず鑑別診断に入れなくてはならない既往であり,今回1つの章として追加しました。抗癌剤以外の眼科領域副作用もまとめてあります。薬それぞれが起こす可能性のある副作用,また副作用から原因薬剤を考える,という逆引きバージョンも作ってみましたので,日常診療にお役立て下さい。
2020年1月 著者
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。