【質問者】
松林宏行 静岡がんセンター内視鏡科医長
【膵癌のリスク因子を有する症例に対して,適切なスクリーニングを行う】
膵癌患者は年々増加傾向にあります。わが国における2017年の膵癌罹患患者数は4万981人で,臓器別では男性6位,女性6位です。一方,2019年の膵癌死亡数は3万6356人で,臓器別では男性の第4位,女性の第3位と順位が上がることから,膵癌の予後が不良であることがわかります1)。膵癌の予後を改善させるためには,進行した症例に対する集学的治療の発展とともに,膵癌を早期に発見することが重要です。
現在,膵癌のリスク因子は,膵癌の家族歴,遺伝性膵癌症候群,糖尿病や肥満などの生活習慣病に加え,慢性膵炎や膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)などが挙げられています。膵癌のリスク因子を有する症例に対して効率的に膵癌のスクリーニングを行う方法がいくつか報告されています。米国では,Cancer of the Pancreas Screening(CAPS)国際コンソーシアムが,リスク因子を有する症例を対象にスクリーニングを行うことの有用性を報告しています2)。
残り997文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する