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糖質制限食が威力を発揮した重症糖尿病患者 [プラタナス]

No.4815 (2016年08月06日発行) P.3

灰本元 (灰本クリニック院長)

登録日: 2016-09-16

最終更新日: 2017-01-20

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  • HbA1c 13.8%、随時血糖値664mg/dLの男性患者が8月29日の昼前に初診で来院した。患者は34歳独身、糖尿病歴やソフトドリンクの多飲はなく、両親とも2型糖尿病。2カ月間に体重は18kg減っていた。

    このようなケトーシス状態でご飯や麺などの糖質を食べると、さらに食後血糖値が上昇してインスリンが必要になるので、食後血糖値をほとんど上げない糖質制限食で治療すれば薬をできるだけ使わなくて済む。私はそういう主旨の臨床研究を2009年、Nutrition&Metabolism誌上に発表し、この論文はADA Statementsに引用された。

    「入院してインスリンを打つ治療が常識だが、外来で短期間に糖質を完全に抜く治療もあるよ」「元気だし食欲も普通なのにどうして入院が必要なの?」という会話の後、高血糖の危険性を十分説明して外来治療となった。体重は94.8kg、BMIは29.1、前夜にラーメン大盛り替え玉を食べるような大食漢で、1日当たりの総エネルギー3648kcal、糖質665g(糖質比73%)、脂質44g(11%)、たんぱく質124g(14%)であった。血液検査でGAD抗体(-)、血中ケトン体濃度の上昇以外に異常がなかった。

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