株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

肩関節脱臼の基本的な治療方針と最近のトピックスについて

No.5086 (2021年10月16日発行) P.50

船越忠直 (慶友整形外科病院・慶友肩関節センター長)

山本宣幸 (東北大学医学部整形外科准教授)

登録日: 2021-10-17

最終更新日: 2021-10-14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 肩関節脱臼は若年者から高齢者まで日常診療でよく遭遇する疾患です。近年の関節鏡手術の進歩により,短期の関節鏡手術の成績は良好と認識されていますが,年齢,障害の程度,スポーツや労働復帰の希望などの様々な条件が,保存加療,手術加療に影響を与えるのではないでしょうか。現在の肩関節脱臼の基本的な治療方針と最近のトピックスについて教えて下さい。東北大学・山本宣幸先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    船越忠直 慶友整形外科病院・慶友肩関節センター長


    【回答】

     【治療は初回脱臼に対するものと反復性脱臼に対するものに分かれる】

    肩関節脱臼と言っても様々な病態がありますが,一般的に「肩関節脱臼」は「外傷性肩関節前方脱臼」を指すため,本稿でも「外傷性肩関節前方脱臼」に関して述べたいと思います。

    治療は,保存治療と手術療法に大きく分かれます。治療方針は初回脱臼と反復性脱臼で異なります。

    (1)初回脱臼の治療

    治療には3つの選択肢があります。外旋固定,脱臼予防装具,手術療法です1)

    ①外旋固定

    脱臼整復後3日以内であれば外旋固定の適応になります。外旋固定によって再脱臼を半分に減らすことができることがわかっています2)

    ②脱臼予防装具

    脱臼予防装具はシーズン中のアスリートや手術を希望しない症例に適応になります。脱臼を完全に予防することはできませんが,一定の効果があることは報告されています3)

    ③手術療法

    再脱臼を防ぐという意味では手術療法が最も成績が良いと言えます。最近5年ほどの鏡視下Bankart修復術の臨床成績を見ると,再脱臼の発生率(%)は1桁台です。当施設の成績も5%と良好です4)。初回脱臼の患者でもう再脱臼は避けたいという希望があれば手術療法を選択すべきです。

    残り1,053文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    長崎県五島中央病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 整形外科 1名
    勤務地: 長崎県五島市

    当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
    離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
    共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

    癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
    3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
    また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。

    ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。
    ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
    食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
    共に五島で働きましょう。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top