他医療機関への紹介状の中身は患者も気になるものです。紹介をした患者が,紹介状をこっそり見てしまうということもあります。紹介状の内容に患者が納得できない場合,どのように対応すべきでしょうか。
患者:先日作成して頂いた紹介状なんですが……何なんですか!この内容は!
担当医:どうしましたか?
患者:どうもこうもないでしょう。治療の経過についてはよいとしても,「性癖がある」とは余計なことでは……
担当医:ありのままに記載したつもりですが……
患者:ありのままといっても治療に必要ない事柄まで記載することはないでしょう。内容を訂正して下さい。さもなければ名誉毀損で訴えます!
①紹介する上で必要な情報と判断し,ありのまま記載しただけです。封緘した紹介状を見ること自体が問題で,これでは適切な治療を続けることは難しいです。
②大変失礼致しました。おっしゃる通り,治療には必要ない情報でしたので,改めて記載させていただきます。
患者に説明した内容以上に記載するときは,十分に配慮が必要です。紹介の際は治療に必要な情報の記載にとどめましょう。開封そのものは刑罰の対象となりますが,この点に触れるとトラブルがますます大きくなり兼ねないので,②のように紹介状の中身だけで対応するのが無難です。どうしても紹介先に伝えておきたいが,患者・家族に知られたくないという内容については,連絡先を記載して後日連絡し合うのがよいでしょう。
他医療機関に受診するようにと紹介状を渡した患者が,「なんてことを記載しているんだ!書き改めろ!」と血相を変えて怒鳴り込んできました。受け取った紹介状をこっそり見てみたらとんでもないことが記載されていたということで,担当医に会わせろということでした。紹介状の中に「性癖がある」との記載があり,診療に関係ない事柄であり記載不要ではないかということでした。