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特集:診療所でできる!変形性膝関節症の保存療法

No.5091 (2021年11月20日発行) P.18

宗田 大 (医療法人社団JSI八王子ひがし整形外科院長)

森戸俊行 (医療法人社団JSI八王子ひがし整形外科)

登録日: 2021-11-19

最終更新日: 2021-11-17

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宗田 大
1979年東京医科歯科大卒。2000年同大学大学院運動器再建学(運動器外科学)教授,17年国立病院機構 災害医療センター院長,20年医療法人JSI昭島整形外科顧問,21年より現職。主著に『膝痛 こだわりの保存治療』(2018),『膝痛 知る診る治す 改訂第2版』(2020),いずれもメジカルビュー社。

1 変形性膝関節症(膝OA)とは?
①定義:軟骨や半月板,軟骨下骨が加齢などによる関節炎,滑膜の増殖線維化,軟骨摩耗による荷重分担能の低下などにより膝関節痛を生じる疾患
②原因:遺伝素因を背景に膝の荷重衝撃吸収装置の劣化や二次的炎症
③メカニズム:摩耗した軟骨粉に反応して関節全体の炎症を起こし,局所部位不明の自発痛と関節水腫を起こす。関節症性変化や関節炎で変性した関節組織は疼痛を感じやすくなり力学的過負荷などにより種々の疼痛を生じる
④診断:X線像による診断が一般的。国際的にKL分類でグレード2以上
⑤評価:下肢のアライメント,膝可動域,圧痛点,関節炎の程度;背景として肥満,糖尿病,職業・趣味による膝負荷

2 膝OAの痛みの診断
圧痛点の解剖学的把握を行うことにより疼痛緩和に役立てることができる。
①前面:膝蓋骨を他動的に移動させて疼痛を誘発する。膝蓋腱の圧痛
②内側:内側の圧痛は幅広い。関節裂隙周囲,半膜様筋腱付着部など
③外側:関節裂隙,外側側副靭帯,腸脛靭帯など
④膝窩部:腓腹筋内側頭・外側頭の近位付着部

3 運動療法
基本的な3種類の体操を行い,膝関節周囲の軟部組織の柔軟性を改善し,筋力をつけることで膝OA疼痛緩和の基本をなす。
①基本の体操:大腿四頭筋セッティング,カーフパンピング,ヒップリフト
②膝蓋骨・膝蓋腱の圧痛点ストレッチ:膝蓋骨の8方向への移動,膝蓋腱のほぐし
③運動の上げ方:スクワット,大腿四頭筋訓練,ウォーキング,ジョギング

4 薬物治療
①内服薬:NSAIDs,COX-2阻害薬,プレガバリン,②貼付薬:NSAIDs含有貼付薬,③塗布薬:NSAIDs含有塗布薬,ヘパリン類似物質
種々の疼痛改善目的でCOX-1,2を同時に抑える内服薬を,膝への予想される負荷による関節炎の痛みをコントロールするためにCOX-2阻害薬を処方する。貼付薬は効果があり希望すれば使用する。塗布薬は関節周囲の疼痛の緩和と自己ケアの習慣づけのために処方する。

5 注射治療
①関節内:ヒアルロン酸製剤(分子量による違い)・ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム(ジョイクル®),ステロイド,生物学的製剤
わが国で保険医療で受けられる膝OAの関節注射薬はヒアルロン酸製剤とステロイドであり,その安全性と有効性にはエビデンスがあるが,効果は概して短期間であり,関節の状態によって異なり,注射時痛が目立つ例もある。ステロイドの関節内注射は炎症抑制効果に優れるが,関節構造の変性を促進する。より長期間の疼痛緩和を期待できる新しい注射薬ジョイクル®が発売されたが副作用が多発している。
②関節周囲:強い膝痛の原因として関節周囲の痛みの関与が考えられる例では圧痛点への局所麻酔薬の注射が効果的な例がある

6 手術治療の考慮
①鏡視下デブリドマン,②膝周囲骨切り術,③単顆型置換術,④全置換術
手術はそれぞれ適応が異なる。デブリドマンを基本とする関節鏡視下手術の効果は否定的である。術後の機能をみると活動レベルも膝可動域も膝周囲骨切り術が最も高く,単顆型置換術,全置換術と続く。

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