世界でも類を見ない睡眠の基礎研究拠点「筑波大国際統合睡眠医科学研究機構」(IIIS)を率いて、睡眠・覚醒のメカニズム解明に挑む。
大学院生時代の1988年に血管収縮物質「エンドセリン」を発見して一躍脚光を浴び、米国ハワード・ヒューズ医学研究所にスカウトされた。
次に着手したオーファン受容体の探索プロジェクトでは、脳内のペプチド性神経伝達物質である「オレキシン」を発見。当初は食欲や体重調節に関与する因子と考えていたが、ノックアウトマウスでナルコレプシーの症状を観察、睡眠・覚醒のスイッチを制御していることを突き止めた。
2つの発見は「最初から創薬を意図したわけではない」が、エンドセリン受容体拮抗薬は肺高血圧症治療薬として、オレキシン受容体拮抗薬は睡眠薬として承認されており、いずれも臨床応用につながった。IIISではナルコレプシー治療薬として、オレキシン受容体作動薬の開発も手掛ける。
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