No.5102 (2022年02月05日発行) P.67
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2022-02-02
最終更新日: 2022-02-01
今回は其の391である。定年と同じく3月いっぱいで連載終了だと、其の398までということになる。其の385とかで終了なら気にならないが、398っていかにも中途半端やないの。なので、編集部にお願いして、其の400まで書かせてもらうことにした。何となくキリがよくて気持ちよろしいやろ?なので、残りあと10回、いよいよファイナルカウントダウンの開始である。
年明けからぼちぼちと教授室の片付けを始めかけている。スペース的に最大なのはいろいろな本だが、古い教科書類が多いので、ほとんどは捨てることになりそうだ。まぁ、そのあたりは最後に判断すればいい。
なので、ファイリングキャビネットの中に所蔵、というか死蔵されている物の整理から始めることに。まず目に入ったのがスライド保管ボックスである。パワーポイントではなくスライドをプレゼンに使っていたのは20年ほど前までだったろうか。
いやぁ懐かしいと、若いスタッフ、といっても30代半ば、に見せたら、いったいそれはなんですかという。え~っ、スライド知らんのか。それどころか、どうやって使うんですかと聞いてくる。そうか、あんたらは8ミリ映写機や幻灯機も知らん世代なんやなぁ。
「カルーセルという円形のフォルダーとかに入れて1枚ずつ投影しててん」と説明した。「へぇ、カルーセル麻紀やったら知ってますけど」って、それはちゃうっちゅうねん。もう使うことなど絶対にないし、特に思い出深いスライドを何枚か残すだけにした。
次に取りかかったのは昔の手紙で、これはもう懐かしすぎた。けっこう筆まめなのでよく手紙を出していた。そのお返事を残してあったのだが、20年くらい前までは手書きのが多くてすごくいい。捨てるには忍びないから、自宅へもって帰ることに。
いかにたくさんの人たちにお世話になってきたか、幸せな研究者生活やったなぁとしみじみと思い返すことができた。中には、うわっ、こんな返事をもらうって、どんな手紙を出したんやろと赤面しそうなものもあった。それより、そんな手紙が送り先で読み返されたりしてたらどうしたらええんやろ。
写真も懐かしいものが多かった。いまは通信も写真もみんなPCの中に埋もれている。探せば出てくるだろうけれど、こんな感じでの意外な発見などなさそうだ。アナログ時代も決して悪くなかったんやわ。
なかののつぶやき
「面倒なので、退職の記念講義などやめておこうかと思っていたのですが、諸般の事情により、誕生日である3月14日に行うことにしました。タイトルは『おもろい人生、その途上にて─研究だけが人生か─』の予定です。オミクロン株のこともあって、どういう形式になるかはようわからんところもあるのですが、ネット配信は必ずおこなうつもりです。詳細は後日にお知らせしますので、ご覧いただけたら幸いであります」