【質問者】
原田和俊 東京医科大学皮膚科学分野教授
【従来の内服・外用療法に加え,抗TNF製剤の使用が可能になった】
壊疽性膿皮症の臨床像は,潰瘍型,水疱型,膿疱型,表在(増殖)型,ストーマ周囲型に分けられます。ほかにpost-surgical pyoderma gangrenosum,drug-induced pyoderma gangrenosumという呼び方もありますが,これらは原因(外科的侵襲や薬剤)を重視したものと言えます。最も多いのが潰瘍型で,重症例では腱や骨が露出するくらいの深さになることもあります。
まずは正しく診断することから始まりますが,それほど容易ではありません。理由として,特徴的な臨床所見が乏しく,発症から長期間経過したり治療の影響があるとその特徴が失われてしまうこと,下腿に潰瘍をきたす疾患はいくつもあること,生検しても特異的な所見がないこと,診断基準のひとつに提唱されている臨床像の記載は客観的な評価に乏しいこと,特異的なバイオマーカーがないこと,などが挙げられます。壊疽性膿皮症は,炎症性腸疾患(中でも潰瘍性大腸炎),関節リウマチ,血液系悪性腫瘍,大動脈炎症候群などの基礎疾患を有する患者に生じる場合があり,逆にそのことが診断の手がかりになる場合も少なくありません。
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