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多剤耐性アシネトバクター(MDRA)感染症[私の治療]

No.5105 (2022年02月26日発行) P.48

堀野哲也 (東京慈恵会医科大学感染制御科准教授)

登録日: 2022-02-26

最終更新日: 2022-02-21

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  • 多剤耐性アシネトバクター(multidrug-resistant Acinetobacter sp.:MDRA)は,感染症法により広域βラクタム系薬,アミノグリコシド系薬,フルオロキノロン系薬の3系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属菌と定義され,イミペネムの最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)値が16μg/mL以上,アミカシンのMIC値が32μg/mL以上,シプロフロキサシンのMIC値が4μg/mL以上のすべてを満たすものと定義されている。さらに,他の系統の抗菌薬にも耐性を獲得したextensively drug-resistant(XDR)や,pandrug-resistant(PDR)と呼ばれるアシネトバクター属菌も報告されている。

    ▶診断のポイント

    アシネトバクター属菌のうち,A. baumanniiが臨床上あるいはアウトブレイクなどで問題となることが多いが,A. nosocomialisやA. pittiiなども原因菌として報告されている。MDRAによる感染症は,市中感染として発症することは稀であり,院内感染,特に人工呼吸器関連肺炎やカテーテル関連血流感染症の原因として重要である。また,患者の診断・治療だけでなく,感染の拡大を防止するために院内感染対策も同時に行う必要がある。

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