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先生なら手術受けますか?(山本宣幸)[プラタナス]

No.5107 (2022年03月12日発行) P.3

山本宣幸 (東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座整形外科学分野准教授)

登録日: 2022-03-12

最終更新日: 2022-03-09

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  • 2021年12月末日、2021年最後の執刀となる患者に対して、外来で手術説明をしていた時であった。手術説明が終わった時に私とほぼ同年齢の患者さんが言った。「先生が私の立場だったら手術受けますか?」私は、はっとした。一瞬、自分ならどうするかと考えたが、即答した。「受けますよ。だって、これこれこうで……」手術の必要性を再度説明した。しかし、自分は本当にそう思っているのか?と、返答してから自問自答した。「自分なら手術は受けません」とは到底言えなかった。患者さんが診察室を出ていってから再度考えてみたが、やはり自分でも手術を受けるだろうと思い、何となくほっとした気持ちになった。

    「自分が患者の立場だったらどうするか」、「自分の家族が患者だったらどうするか」。多くの医師がそう思って診療に携わっていると思う。少なくとも医者になったばかりの頃は先輩からもよくそう言われ、自分もそう思うようにしていた。患者さんから「先生が私の立場だったら手術受けますか?」と言われ、はっとしたのは患者のことを本当に考えているのか、と感じたからに違いない。痛みがあまりなく、忙しい仕事を休んで手術を受けるほど困っているのか、その必要性があるのか、などを真剣に自分は考えていたのか。

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