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抗アミロイド抗体医薬の対象となるアルツハイマー病の早期段階での診断は可能か?

No.5107 (2022年03月12日発行) P.46

小野賢二郎 (金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 脳老化・神経病態学(脳神経内科学)教授)

池内 健 (新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター 教授)

登録日: 2022-03-15

最終更新日: 2022-03-09

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  • 抗アミロイド抗体医薬の対象となるアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)の早期段階での診断は可能でしょうか?
    新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター・池内 健先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    小野賢二郎 金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 脳老化・神経病態学(脳神経内科学)教授


    【回答】

     【PETや脳脊髄液検査により早期アルツハイマー病の診断が可能に】

    抗アミロイド(Aβ)抗体薬は,脳内Aβ蓄積を減少させるADに対する疾患修飾薬です。米国では抗Aβ抗体薬のaducanumabが2021年6月に迅速承認され,実臨床で用いられ始めています。本邦でも複数の抗Aβ抗体薬の開発が進んでいますが,いまだ承認には至っていません。抗Aβ抗体薬の治療標的がAβであるため,治療前に「アミロイド確認検査」と呼ばれる脳内Aβ蓄積を確認する検査が必要になります。

    「アミロイド確認検査」としてはAβ PET検査と脳脊髄液検査があります。これらの検査を行うことで,抗Aβ抗体薬の対象となる早期ADの診断が可能です。Aβ PET,脳脊髄液検査とも高い精度で脳内Aβ蓄積の有無を識別できます。PET検査の利点としては侵襲性が低いこと,Aβ蓄積の空間情報が得られることが挙げられます。一方,脳脊髄液検査の利点としてはコストが比較的安価であること,特別な機器を必要としないこと,などが挙げられます。抗Aβ抗体薬が本邦で保険収載されれば,「アミロイド確認検査」を保険検査として実施できる体制整備が望まれます。

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