厚生労働省が3月24日に公表した「令和3年度(2021年度)介護従事者処遇状況等調査」の結果によると、「介護職員等特定処遇改善加算(以下、特定処遇改善加算)」の取得施設・事業所に所属する介護職員の平均給与額は前年度比で7780円増加したことが明らかになった。21年度に新規で加算を取得した施設・事業所に限定した場合の増加額は1万3410円となる。調査結果は同日の社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会に報告された。
調査は、介護保険施設や居宅介護サービス事業所など1万3724施設・事業所を対象に実施し、8812施設・事業所から回答を得た。有効回答率は64.2%。
調査結果をみると、回答施設・事業所における「介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算)」の取得率は94.1%(前年度比0.6ポイント増)。内訳は、▶加算(Ⅰ)79.8%(4.2ポイント増)、▶加算(Ⅱ)8.9%(1.1ポイント減)、▶加算(Ⅲ)5.1%(1.9ポイント減)―などとなった。「特定処遇改善加算」の取得率は前年度比9.5ポイント増の72.8%。このうち「加算(Ⅰ)」は39.6%(4.9ポイント増)、「加算(Ⅱ)」は33.2%(4.6ポイント増)だった。
「特定処遇改善加算」を配分した職員の範囲(複数回答)をみると、「経験・技能のある介護職員」に配分した施設・事業所は92.0%、「他の介護職員」は85.0%、「その他の職種」は53.3%で、半数以上が「その他の職種」の処遇改善にまで加算財源を充当。「その他の職種」の上位4職種は、「看護職員」、「生活相談員・支援相談員」、「事務職員」、「介護支援専門員」だった。
また、「経験・技能のある介護職員」の賃金改善の実施状況(一部複数回答)は、▶月額平均8万円以上の賃金改善を実施11.4%、▶改善後の賃金が年額440万円以上となる賃金改善を実施40.8%、▶すでに賃金が年額440万円以上となっているものがいる38.5%―などとなっている
一方、介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額を前年度と比較すると、「特定処遇改善加算(Ⅰ)、(Ⅱ)」の取得施設・事業所では7780円増加。このうち、21年度に新規でこれら加算を取得した施設・事業所の増加額は1万3410円だった。これに対して「処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)」のみで「特定処遇改善加算(Ⅰ)、(Ⅱ)」を取得していない施設・事業所の増加額は5460円にとどまった。