厚生労働省は1月20日、介護報酬の「身体拘束廃止未実施減算」などに関するQ&Aを都道府県などに事務連絡した。一部サービスにおける同減算導入の経過措置が2025年3月末で終了することを踏まえ、運用の考え方などを改めて整理した。
24年度の介護報酬改定では「身体拘束廃止未実施減算」の対象サービスを従来の施設系・居宅系サービスから短期入所系及び多機能系サービス(短期入所療養介護や看護小規模多機能型居宅介護など)にまで拡大する見直しを実施。その際、25年3月末までの1年間は減算の適用を猶予する経過措置が設けられた。
経過措置終了後の「身体拘束廃止未実施減算」の取り扱いについてQ&Aは、利用者に実際には身体拘束をしていない場合であっても、身体拘束等の適正化を図るためすべての措置(委員会の開催、指針の整備、研修の実施)を行っていなければ減算対象になることを明記。
また、緊急・やむを得ない事情で身体拘束を検討する場合であっても、(1)利用者本人または他の利用者の生命・身体が危険にさらされる可能性が高い「切迫性」、(2)身体拘束やその他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がない「非代替性」、(3)身体拘束やその他の行動制限が一時的なものであるという「一時性」―の3要件をすべて満たすことの記録を確認できなければ減算が適用されるとの解釈を示し、注意を喚起した
24年度改定では高齢者虐待防止を推進するため、すべての介護サービス事業者(居宅療養管理指導、特定福祉用具販売等を除く)に、①虐待の発生・再発防止を検討する委員会の開催、②指針の整備、③研修の実施、④担当者の配置―を求め、1つでも未実施がある場合は基本報酬を減算する仕組み(高齢者虐待防止措置未実施減算)も導入された。
このうち研修の年間実施回数についてQ&Aは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院などの施設系サービス等は「年2回以上」、訪問・通所リハビリテーション、短期入所療養介護などの居宅系・短期入所系・多機能系サービス等は「年1回以上」と、サービスによって基準が異なることを示し、留意を促した。