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アレルギー治療のフォローアップを患者が負担なく導入できるオンライン診療サービスで実施[クリニックアップグレード計画 〈システム編〉(31)]

No.5113 (2022年04月23日発行) P.14

登録日: 2022-04-22

最終更新日: 2022-04-22

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2022年度診療報酬改定は、厚労省がコロナ禍を受け医療へのアクセスを確保するため普及を推進してきたオンライン診療の取り扱いが、大きな焦点となった。初診の制度化に加え、診療報酬が大幅に引き上げられた。連載第31回は、患者の利便性向上と感染拡大防止、専門のアレルギー治療とオンライン診療の相性の良さなどの観点から、再診患者を対象にオンライン診療を実施している小児科クリニックの事例を紹介する。

オンライン診療を巡っては、政府が「規制改革実施計画」で“初診恒久化”を盛り込んだことを受け、厚労省が2022年1月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下ガイドライン)を改訂、2022年度診療報酬改定では“初診解禁”“点数引上げ”が実施されるなどさらなる普及に向けて大きく舵が切られた。

初診料と医学管理料は共に対面の約87%に設定、再診料は対面、時限的・特例的対応の電話等再診と同額の73点。診療報酬の大幅な引上げが行われた。

運用においても、距離要件と実施割合要件が撤廃。ガイドライン改訂によりオンライン診療を実施できる対象疾患も拡大される。日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」などを参照して、医師が「オンライン診療が可能かどうか」を判断して実施できるため、柔軟な運用が可能になった。

またコロナ禍を受け、自治体が感染防止対策と医療アクセスの確保という観点から、補助金を設け導入を促すケースも増えている。神奈川県が2021年度に実施した「オンライン診療等環境整備費補助事業」を活用し、同年12月から導入したのが川崎市にある「なかむらこどもクリニック」だ。

地域で専門的な小児アレルギー治療を提供

なかむらこどもクリニックは日本小児科学会と日本アレルギー学会の専門医である中村俊紀さんが2021年、小田急線登戸駅から徒歩1分という交通至便な場所に開業した。中村さんは昭和大医学部を卒業後、大学病院や国立成育医療センターで高度医療に従事。「日本小児アレルギー学会食物アレルギー診療ガイドライン2021」ではシステマティックレビュー委員を務めるなどのキャリアの持ち主で、地域のかかりつけクリニックでは珍しい専門的な小児のアレルギー治療を提供している。

同院は感染対策も重視。清潔感あふれる院内で診察室は患者ごとに消毒し、診察から会計までを診察室内で行う。隔離室はベビーカーのまま入室できる広さで、感染疑い患者が待合室を通らずに帰宅できる動線を確保している。

「当院は感染対策を徹底していますが、それでも受診時の患者さんとスタッフのリスクはゼロにはなりません。私が専門とするアレルギー治療は、長期間にわたる受診が必要です。海外では半年に一度程度専門医を受診する形がスタンダードで、症状が安定していればオンライン診療で十分フォローアップが可能です。感染リスクによる受診控えを防止する狙いから新型コロナウイルスの第5波の感染状況が落ち着いた段階で急いで導入を決めました」(中村さん)

 

専用アプリのインストールが不要

同院が導入したのはLINEヘルスケアが提供するオンライン診療システム「LINEドクター」(https://doctor.line.me/clinic)。

LINEドクターの最大の特徴は、約9000万人(2021年12月時点)が利用するLINE上でオンライン診療が提供できるため、専用のアプリをインストールする必要がない点にある。

医療機関にとっては、①初期費用・月額固定費が無料(手数料は別途決済金額の3.5%)、②予約管理から決済までをシームレスに完結、③使いやすいシンプルなデザイン─というメリットがある。競合のオンライン診療システムベンターの中からLINEドクターを導入した理由を中村さんはこう語る。

「一番の決め手は、たくさんの人が使っているLINEであれば、オンライン診療を開始することへの心理的ハードルが低く、導入時の患者さんへの説明などの負担も少なくて済むと考えたからです。コスト面においても手数料はかかりますが、初期費用と毎月の利用料は無料という点が魅力的でした。小児科は窓口での現金のやり取りが少なく、費用面での負担が少なくて済むシステムはありがたいです」

画面上でも視診はしやすい

同院では30分に1人というオンライン診療用の枠を設け、運用している。対象は再診で気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの症状が安定している患者。症状が悪化したらオンラインで相談を受け、必要な場合は対面診療を行う。初診患者へのオンライン診療は、小児科という特性もあり診療に必要な情報量が得られにくいとの考えから当面実施するつもりはないという。

「オンライン診療を始めてみると『割とうまくいくものだな』というのが正直な感想です。顔色や呼吸の状態など画面上でも視診はしやすいと思います。また当院のHPに診療内容の補足説明を記載するコーナーを設け、該当する箇所を見ながら検査結果の説明をするようにしています」(中村さん)


クリニック選びの判断材料になる可能性も

22年度診療報酬改定とコロナ禍による社会のDX化の推進で、オンライン診療の普及が進む環境が整ってきた。中村さんは地域のかかりつけ医がオンライン診療に取り組む意義についてこう語る。

「今後はオンラインで診療することが必須のスキルになる可能性が高いと考えています。今なら『慣れていないので』ということが通用する段階ですので、まずはやってみることが大切だと思います。5年後には患者さんがオンライン診療の有無をクリニック選びの判断材料にする可能性があります。地域のクリニックは社会のインフラであることを考えると、時代のニーズに応え利便性を高めていく必要があり、それに対応できなければ淘汰されていく可能性もあるのではないかと個人的には考えています」

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