医療機関を受診する患者は,様々な疾患の悩みを抱えて来院します。中には周囲の目を忍んで来院する方もおり,医療従事者は必要以上に患者を見ることは控えるように,気をつけなければなりません。
①職員には常に外来の状況を見て臨機応変に対応するよう指示しております。誤解されるような行動があったことに対してお詫び申し上げます。
②不快な思いをさせてしまい大変失礼致しました。職員には常に患者の気持ちに寄り添うように指導しておりますが,周知・徹底されずに申し訳ございませんでした。
疾患によっては,世間から好奇の目で見られ,非常に気にしている患者もいます。①のように,窓口における安全に配慮する業務を説明することも必要かと思われますが,まずは②のように,患者の気持ちに寄り添う対応や,院内での取り組みについての説明が必要と思われます。医療に従事する者は,患者を好奇の目で見ることなく,公平に対応するよう常に心がける必要があります。
東京五輪開会式を4カ月後に控えた時期に,東京五輪・パラリンピック開閉会式の企画・演出責任者が,女性タレントの容姿をブタに見立てる提案をしていたことが発覚し,辞任したというニュースが報じられました。このニュースは瞬く間に全世界に広がり,各方面から避難を浴びることになりました。この「タレント容姿侮辱問題」はさらに広がりを見せ,容姿を嘲笑されたことのある女性たちから「ルッキズム」(外見至上主義)が取り沙汰されました。
これらの一連の報道を見聞きし,勤務していたガソリンスタンドで熱湯を浴び,顔に瘢痕が残った知人のお子さんのことを思い出しました。そのお子さんは,オーバーヒートした車のラジエーターのキャップを開けた際に顔に熱湯を浴び,病院に搬送され,Ⅱ度の熱傷で2週間程入院することとなりました。幸い両眼の失明は免れましたが,顔に瘢痕が残り,健康な皮膚と熱傷部分の皮膚の違いが明確に生じてしまいました。気持ちは消沈し,人と会うのも控え,外出するにも顔を見られないようにしていたとのことでした。その時,昔から「男は度胸,女は愛嬌,女の顔は命」と言われていたことは嘘だと思い,「男も顔は命である」と感じたとのことです。その後,瘢痕も目立たなくなってきましたが,いまだ健康な皮膚と熱傷後の皮膚との境目は気になるということでした。