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[討論 Pro×Pro]まだまだおかしい!コロナ対策─感染経路への正しい理解を(西村秀一×森内浩幸)

No.5122 (2022年06月25日発行) P.14

登録日: 2022-06-23

最終更新日: 2022-06-23

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医師・医療従事者向け動画配信サービス「Web医事新報チャンネル」(www.jmedj.co.jp/movie/)で6月23日より全6回で配信するスペシャル対談「まだまだおかしい!コロナ対策」(西村秀一×森内浩幸)の模様を、第1回「感染経路を正しく理解する」のパートを中心にダイジェストでお届けします。(対談は5月31日に収録しました)

医学が未熟だった

森内 新型コロナウイルスの感染経路を巡っては結構すったもんだがあった。最初はよく分からないところがあったとはいっても、だんだん知見が増え、「飛沫感染や接触感染だけでなく空気感染も大事」「接触感染はそこまで重要ではない」ということもだんだん分かってきた。しかし日本は、最初に出したもの(=主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」という見解)を頑なに引っ込めないところがあった。

「いったん『空気感染』という言葉を出すと後が大変」という考えが頭にあって、なんとなく出しにくかったのかなと思う。西村先生はどんなふうに思っていたか。

西村 まず「エアロゾル感染」というものを認めてくれた。しかし「エアロゾル感染と空気感染はどう違う」と言われた時に(多くの専門家は)答えが出てこない。

「エアロゾル」とは何かというと、空気中に浮遊している粒子と空気の総体を言う。それを吸って感染するのであれば、空気を吸って感染するのだから「空気感染」だということ。

水を飲んで感染するのが「水系感染」で、空気を吸って感染するのが「空気感染」。「空気感染の御三家は麻疹、結核、水痘」というのが逆定義になって(それらしかないと考えるのは)大きな間違い。医学がそういうところで結構未熟だったのだろうと私は思っている。

理学やジェネラルサイエンスの「エアロゾル」の「ゾル」という考え方を採らないで、何かすごく特殊なものを「空気感染」と言ってきた。逆に「空気感染って何ですか」と言っても、空気感染の定義がどこからも聞こえてこない。

「エアロゾルって何ですか」と聞くと間違っている。水分を持って飛んでいるものをエアロゾルと言う。それは単なるミスト。エアロゾルには含まれるけれど、それがエアロゾル(の定義)ではない。そこの理解ができていなかった。

飛沫感染と空気感染には連続性がある

森内 そもそも飛沫感染と空気感染・エアロゾル感染は、全然違うカテゴリーというよりも連続性があるものととらえたほうがいいのではないか。

西村 くしゃみや咳で出てくるものは「飛沫」と呼ばれるが、それが浮遊して空気と一緒に挙動すればエアロゾルになる。落下するようなものでも、風が吹いて舞い上げられ、そのうち小さくなって空気中に浮遊すればエアロゾルになる。そこは連続性がある。

昔は5μmで分けていたけれど、それはあまり意味のあることではない。

医学以外の専門家の声も聴くべき

森内 感染症の臨床をしている人たちだけだと、ドグマみたいものから離れきれないところがある。

流体力学のジャーナルに載っている論文を見て目からうろこだったのは、子どもがあまり感染源にならない理由として、子どもの肺活量などから分析すると、マスクをしていない子どもとマスクをしている大人で同じくらいしかウイルスが出ていかないということが、私には到底理解できない計算式とともに示されていた。

私たち(臨床医)の頭だけで解決できないところは、いろいろな専門家の声を聴かないといけない。それで感染対策は変わる。

教科書が変わらないといけない

西村 私は教科書が変わらないといけないと思う。感染管理の教科書が100年前のドグマのままでずっと来ている。大きく括った「飛沫」という考え方があって、その中で落下するものに偏ってしまい、空気中に浮いているものはあまり考えない。

ちょうどここにChapinが書いた“The Sources and Modes of Infection(1912)”がある。これが感染管理の大本になっている本。この時代から変わっていない。だから教科書を変えていかないといけない。エアロゾル感染や空気感染の定義をもう一度元に戻って考えないと根本的な対策にはならない。

COVID-19に関しても、手で感染する確率はおそらく非常に低い。全然ないわけではないので手洗いをしてもいいのだけれど、そこがメジャーではないということをみんな認識すべき。(誤った認識に)引きずられて学校の対策などがおかしなことになっている。

森内 感染経路がある程度分かってきて、オミクロン株とその系統の株が流行している状況の中で、「いまの感染対策、ここはちょっとおかしいよ」というところはないか。

西村 いまだに環境消毒、アルコール消毒ばかり。メジャーなところに力を入れなくてはいけないのだけれど、枝葉末節の非常にリスクの低いところに労力をかけている。

小学校でいまでもボランティアが放課後に机を拭いたりしている。春休みで次の日に登校だという時にみんなで一斉消毒をしている。運動会でバトンリレーをやらないのは手から感染するからとか。

欧米では環境消毒などしない。いま環境消毒をしているのは中国だけれど、日本は中国のことを笑えない。

アクリル板のパーテーションもおかしい。それまで奥さんと一緒に車で来て、レストランに入った途端、パーテーションで分けさせられる。これで一体誰を守ろうとしているのか。そういうおかしなところが全然直らない。

学校の対策から直していくべき

森内 米国の学校での調査では、デスクシールドをすると逆効果になったというデータがある。考えてみたら当たり前で、どんなに換気をよくしても、吸っているところはよどんでいるわけだから。

西村 学校の対策って本当におかしいと思う。学校から直していくのか、学校が最後になるのか、どうすべきだろう。私は学校から直していくべきだと思う。

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