株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

動作が緩慢になった83歳女性[鑑別診断塾入門(31)]

No.5124 (2022年07月09日発行) P.7

塩尻俊明 (国保旭中央病院総合診療内科部長)

登録日: 2022-07-08

最終更新日: 2022-07-07

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【現病歴】認知症はあるもののADLは自立していた。X-8日,朝食の後片づけが緩慢で,歩行も大腿が上がらず,ゆっくりと歩くようになった。X-4日,朝起きた時から坐位やトイレからの立ち上がりに介助が必要になった。着替え時に,ズボンの上げ下ろしが困難になった。X-2日,箸を口まで持っていくのにも苦労した。X-1日,坐位からの立ち上がりもできなくなり来院。
<追加の情報>
動作緩慢は,朝から昼過ぎまでが強い。表情が乏しいが,頭痛,顎跛行はなかった。
【既往歴】気管支喘息,アルツハイマー型認知症。
【内服薬】ブデソニド吸入400μg1日2回,テオフィリン400mg,メマンチン塩酸塩20mg
【バイタルサイン】BP 128/74mmHg,PR 88/ min,RR 16/min,BT 36.9℃,SpO2 98%(RA),意識清明
【身体所見】頭頸部:側頭動脈の圧痛と肥厚なし。胸部:心雑音なし。四肢:疼痛のため両肩関節外転,屈曲が困難。疼痛のため両大腿内旋,屈曲,外転が困難。皮膚:Osler結節,Janeway病変なし。神経:マイヤーソン徴候陰性。振戦なし。固縮はなし。歩行はゆっくりではあるが,前傾すり足歩行ではない。徒手筋力テストでは,近位部は疼痛があるものの,遠位とともに筋力はほぼ保たれている。

 キーワード 
・急性
・起居動作,歩行が緩慢
・動作緩慢は,朝から昼過ぎまでが強い
・両肩関節可動時痛(特に屈曲,外転が困難)
・両股関節可動時痛(内旋,屈曲,外転が困難)

考えられる診断は?

A. 感染性心内膜炎
B. パーキンソン症候群
C. 特発性炎症性筋疾患
D. リウマチ性多発筋痛症
E. 甲状腺機能低下症

プレミアム会員向けコンテンツです(最新の記事のみ無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top