診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は7月20日、診療報酬で対応する看護の処遇改善について意見交換した。点数設定方法では、8つの試算モデルのうち、基本診療料に細分化された点数を施設単位で上乗せする2モデルに意見が集約された感があり、議論の軸は処遇改善必要額が上限点数を上回る医療機関の取り扱いに移りつつある。点数設定だけでの対応には限界があるため、委員からはこれら施設にも必要な財源が行き渡るような制度上の工夫が必要との指摘があった。
この日の分科会には、処遇改善の要件を満たす医療機関の直近の看護職員の配置状況などを把握した特別調査の結果が報告された。2020年度病床機能報告などの既存データと比較すると、部門別の看護職員の所属割合、入院料の届出状況、在棟・外来患者の延べ数などに大きな変化はなかった。点数設定の試算モデルで最も支持を集めた2モデルを特別調査の数値に置き換え、既存データでの試算と結果を比較した場合も、医療機関の処遇改善必要額の分布状況や、処遇改善必要額と診療報酬による収入見込み額の乖離の状況などに大きな差はなく、試算結果に対象医療機関の実態がほぼ反映されていることが確認できた。
2モデルのうち①―2は、入院料に100種類の点数(1~100点)を施設単位で上乗せする案。これに対して③―2は、初・再診料にも15種類(1~15点)の上乗せを行う案となっている。
だが、いずれのモデルでも処遇改善必要点数(必要額)が点数上限を超える医療機関が存在する。たとえば、モデル①―2で入院料への上乗せ上限を100点とした場合の医療機関カバー率は97.7%。カバー率を99.0%にするには上限を120点に、99.5%にするには上限を145点に引き上げる必要がある。また、必要点数が146点以上の施設は8施設あり、このうち処遇改善の補助金を申請している施設の最高点数は339点だった。
いずれのモデルにおいても、入院料での必要点数が100点を超える施設には、▶三次救急医療施設、こども病院、周産期母子医療センターなど、看護職員を手厚く配置していると考えられる施設が多い、▶病床規模が小さな施設が多い─という特徴があることも明らかになった。