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好酸球性副鼻腔炎に対して手術を施行することの意義は?

No.5129 (2022年08月13日発行) P.52

川島佳代子 (大阪はびきの医療センター医務局長/耳鼻咽喉・頭頸部外科主任部長)

吉川 衛 (東邦大学医療センター大橋病院耳鼻咽喉科教授)

登録日: 2022-08-15

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  • 好酸球性副鼻腔炎は難治性の疾患であり,手術しても完治が難しい症例も存在します。手術を施行することの意義について教えて下さい。また,再発症例に対して再手術あるいは生物学的製剤の投与を選択する基準がありましたらご教示下さい。
    東邦大学医療センター大橋病院・吉川 衛先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    川島佳代子 大阪はびきの医療センター医務局長/耳鼻咽喉・頭頸部外科主任部長


    【回答】

     【手術により術後の局所治療の効率を上げることで病態の制御を行う】

    慢性副鼻腔炎の治療において,1990年代に内視鏡下での低侵襲な手術療法が普及して治癒率が向上すると,その一部に難治性の病態が存在することが問題になりました。そのような患者の鼻組織中に著明な好酸球浸潤を認めたため,2001年に森山・春名らにより好酸球性副鼻腔炎という疾患概念が提唱されました。その後,JESRECスコアなどの診断基準が作成され,2015年には厚生労働省の指定難病となりましたが,実際にはheterogeneousな疾患群といえるほどその病態は多様です。そのため,好酸球性副鼻腔炎のすべてが難治性というわけではなく,多くの症例では手術療法に術後の局所治療を組み合わせることによって病態を制御することが可能です。具体的には,局所治療として鼻噴霧用ステロイドの噴霧と生理食塩水による鼻洗浄を継続します。

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