中央社会保険医療協議会は8月10日、看護の処遇改善と医療DXの推進を柱とする2022年10月の診療報酬改定について後藤茂之厚生労働大臣に答申した。医療DXでは、現行の「電子的保健医療情報活用加算」を廃止。10月からはオンライン資格確認等システム運用施設の初診時における体制整備の評価として「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設する。通常の保険証での受診は4点、マイナ保険証での受診は2点を算定。マイナ保険証利用のほうが窓口負担が低くなる仕組みに改めた。
今年4月の改定で導入された「電子的保健医療情報活用加算」を巡っては、マイナ保険証で受診すると窓口負担が増えるスキームが、マイナ保険証普及促進の流れに逆行するとして廃止を求める意見が出ていた。初診に関しては患者のマイナ保険証忘れでも3点を算定できる経過措置があり、オンライン資格確認等システム(オン資システム)運用施設の初診では、マイナ保険証を利用した場合のほうが利用しない場合よりも患者負担が高くなることにも疑問の声が上がっていた。
こうした意見を踏まえ、10月改定では現行の「電子的保健医療情報活用加算」を廃止し、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設する。施設基準を満たす施設の初診において、問診などを通じて患者の診療情報を取得し、診療に活用した場合に「加算1」として「初診料」や「小児かかりつけ診療料」などに4点を上乗せする。施設基準では、▶オンライン請求の実施、▶オン資システムの運用、▶オン資システムの運用と診療情報を取得・活用した診療の実施について院内とホームページに掲示―などを求める。厚生労働省は加算の新設に合わせて、問診票の標準的項目を新たに定める方針だ。
一方、患者がマイナ保険証で受診し、オン資を通じて診療情報を取得した場合は、情報取得の手間が一部効率化される(現時点では薬剤と特定健診の情報取得)との考えから、点数設定が低い「加算2」(2点)を算定する。いずれも算定は月1回を限度とする。
同日は「保険医療機関及び保険医療養担当規則」等の改正も答申。これにより、現在紙レセプトでの請求が認められている以外の医療機関・薬局に23年4月からオン資システム導入が原則義務化される。