良性骨腫瘍の種類は多く,その臨床像も多彩である。骨破壊のために病的骨折を起こすものから,無症状で経過し日常生活に支障をきたさないものまで様々である。
骨腫瘍には好発年齢や好発部位があり,痛みなどの臨床症状や単純X線,CT,MRIなどの画像所見と合わせることで診断可能な場合が多い。骨破壊を伴うなど悪性との鑑別が必要な場合は,生検による病理組織診断を行う。
良性骨腫瘍の治療は外科的切除が基本だが,病理組織学的に中間悪性群に含まれる骨巨細胞腫には,薬物療法を併用または単独で用いることがある。線維性骨異形成や線維性骨皮質欠損のように,外傷など他の理由で撮影されたX線で偶発的に発見される場合もあり,無症状であれば経過観察にとどめる。痛みを伴う場合や病的骨折を起こす可能性が高い骨腫瘍は手術を検討する。
骨腫瘍の外科的治療は,腫瘍を一塊に切除する方法(腫瘍切除)と搔き出すように取り除く方法(病巣搔爬)がある。また,腫瘍切除後の骨構築を再建する目的で,骨移植や骨セメントを使用することがある。一部の腫瘍では経皮的に低侵襲治療を行う場合がある。
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