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筋クランプ(こむら返り)[私の治療]

No.5131 (2022年08月27日発行) P.46

渡邊 修 (鹿児島市立病院脳神経内科部長)

登録日: 2022-08-27

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  • 筋クランプ(有痛性筋痙攣,muscle cramp,calf cramp)は,突然,不随意に起こる骨格筋の強直性収縮(spasm)である。下腿筋(特に腓腹筋),足関節以下の筋群,大腿屈筋の順に起こりやすい。一般的に「こむら返り」とも言われている。生理的には,長距離走,サッカーなど激しい運動の後半や運動後,睡眠中にみられることが多い。睡眠中に起こる筋クランプは,夜間下肢筋クランプ(nocturnal leg cramp)と呼ばれ,糖尿病罹患中は閾値が下がり発症しやすくなる。重症例では強い痛みのために睡眠が妨げられ,昼間の日常生活に影響を及ぼす。また,妊娠時もみられ,循環血漿量の増加に伴う低マグネシウム血症が原因と考えられている。

    ▶診断のポイント

    いつ起こるのか(安静時,強度の高いスポーツ活動時,夜間,睡眠不足時,筋疲労時,運動時の暑熱環境など),生じるタイミングについて詳細に問診を行う。

    様々な骨格筋に頻回に繰り返したりする場合は病的なものと考える。脱水(発汗,下痢,利尿薬の服用)または電解質代謝異常(低カルシウム血症,低マグネシウム血症),肝硬変,腎不全,血液透析,甲状腺機能低下症,脊髄性筋萎縮症や多発神経炎などの神経原性筋萎縮をきたす疾患,下肢静脈瘤などで頻発する。また長期作用性β2刺激吸入薬,降圧薬として使用されるCa拮抗薬やβ遮断薬,H2受容体拮抗薬,HMG-CoA還元酵素阻害薬,ある種の抗癌剤による薬剤性のものがある。

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