難聴・耳鳴・耳閉感などの聴覚症状を伴うめまい発作を反復する疾患であり,その病態は内リンパ水腫である。ストレスホルモンの一種であるアルギニンバゾプレシンが,内リンパ水腫形成に強く関連していることが示唆されている。疫学的には,几帳面で神経質な性格の人に発症する割合が高く,発症誘因として精神的および肉体的過労などのストレス,気圧変化や睡眠不足が挙げられる。
発症後2~3年程度の経過で軽快する症例と,長期にわたって発作が継続し重症化する症例にわかれる傾向がある。発症初期の難聴は可逆性であるが,罹病期間の長期化に伴い不可逆的となる場合が多い。両側化の頻度は10%程度であり,罹病期間の長期化とともに増加する。
メニエール病定型例の臨床症状は,誘因がなく10分程度から数時間程度持続するめまい発作を反復し,めまい発作に伴って難聴,耳鳴,耳閉感などの聴覚症状が変動する。めまいは浮動感のこともあるが,数十秒程度のきわめて短いめまいが主徴の場合メニエール病は否定的である。臨床症状に加えて,聴覚機能検査,平衡機能検査,内リンパ水腫推定検査,内リンパ水腫画像検査にて診断する。
非定型例として,聴覚症状の増悪や軽快を反復するがめまい発作を伴わない蝸牛型メニエール病と,めまい発作を反復するが聴覚症状は固定性で,めまい発作に関連して変動しない前庭型メニエール病が存在する。聴覚症状と前庭症状を的確に評価した対応が必要である。
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