【質問者】
山中恵一 三重大学医学部皮膚科教授
【難治乾癬妊婦の全身療法には顆粒球除去療法(GMA)とセルトリズマブ ペゴルが選択肢となりえる】
乾癬は妊娠中に40~60%改善すると考えられている一方,10~20%の患者で悪化し強力な治療が必要になる場合があります1)。
乾癬患者の妊娠中に皮疹が悪化した際,まず保湿剤の外用が推奨され,次にステロイド外用薬が使用されます。サリチル酸や尿素などの角質溶解剤,ビタミンD誘導体は広範囲には外用できません2)。次に光線療法が候補に挙がりますがPUVA(psoralen ultra violet A)療法はソラレンの内服もしくは外用が必要なため使用できません3)。重症化や関節症状が出現する場合,内服治療としてシクロスポリンやステロイドの内服が使用されます4)5)。メトトレキサートとエトレチナートは乾癬でよく使用される薬剤ですが,催奇形性のリスクのため使用禁忌となっています6)。これらの治療でも悪化する場合,顆粒球除去療法(granulocyte and monocyte adsorption apheresis:GMA)と生物学的製剤が検討されます。
GMAは体外循環で血球成分,血漿成分と体液を分離・処理するアフェレシス療法のひとつで,膿疱性乾癬と乾癬性関節炎に適応となっている治療法です7)。GMAは妊婦に対する使用副作用報告において胎児への影響はなく,頭痛,立ちくらみ,めまいなどの一時的な発生のみで安全性は高いとされています7)。
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