原発性肝癌は悪性肝腫瘍の75~85%を占め,以前はC型肝炎ウイルス感染が主な原因であったが,近年非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に代表される非ウイルス性肝細胞癌が増加している。日本ではがん死亡の第5位である(2018年では約2万6000人)。
肝癌は自覚症状での早期発見は困難であり,画像検査が重要である。非侵襲的な検査は腹部超音波で,確定診断には造影CT,EOB・プリモビストⓇ造影MRIが必要である。腎機能低下例では,造影超音波検査,SPIO(super paramagnetic iron oxide)-MRIが有用である。血液検査ではAFP, PIVKA-II,AFP-L3分画が,肝癌の腫瘍マーカーとして用いられる。
肝予備能(Child-Pugh分類)・遠隔転移の有無・脈管侵襲・腫瘍数・腫瘍径により治療方針が決定される1)。Child-Pugh Cの場合,肝移植が不能であれば緩和治療を行う。肝移植の適応は,ミラノ基準(脈管侵襲と遠隔転移なし,単発では5cm以下,多発では腫瘍数3個以下で腫瘍径が3cm以下)あるいは5-5-500基準(脈管侵襲と遠隔転移なし,腫瘍径5cm以内かつ腫瘍数5個以内かつAFP 500ng/mL以下)である。
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