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母指CM関節症の保存的治療と手術的治療 【関節固定術は力仕事をする中年労働者に適応があるが,正確な手術を行う必要がある】

No.4820 (2016年09月10日発行) P.57

和田卓郎 (済生会小樽病院副院長)

麻生邦一  (麻生整形外科クリニック院長)

登録日: 2016-10-12

最終更新日: 2018-11-27

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  • 母指CM関節症は頻度の高い手の変形性関節症です。手術治療には,大菱形骨切除+靱帯再建,関節固定,人工関節など多くの方法がありますが,どの方法がベストかについては一定の見解がありません。たとえば,関節固定術は欧米では受け入れられにくいようですが,決して悪くない術式であると感じています。
    そこで,豊富なご経験をお持ちの麻生整形外科クリニック・麻生邦一先生に母指CM関節症に推奨される保存的治療,手術的治療についてご教示をお願いします。

    【質問者】

    和田卓郎 済生会小樽病院副院長



    【回答】

    高齢化社会を迎え,手の変形性関節症,特に母指CM関節症は増加しています。過去18年間に当院で経験した母指CM関節症は735例であり,50~60歳代に最も多く,女性は男性の3.3倍でした。そのうち,手術症例は80例(10.9%),およそ10人に1人の割合でした。

    以下,保存的治療と手術的治療について要点を述べます。

    (1)保存的治療
    変形性関節症の治療は保存的治療が第一であり,母指CM関節症も同様です。治癒は望めないことから,治療の目標はいかに関節の破壊・症状の進行を食い止め,症状を軽減させ,日常生活や仕事上でできるだけ支障がないようにするかです。当院で行っている保存的治療の内容は,生活指導,抗炎症薬の投与,理学療法,ステロイド関節内注射,装具療法などです。

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